睡眠の質を高めるために気を付けたい10の方法
寝つきが悪くて眠っても疲れが取れないわ。眠りが浅いのかな。睡眠の質を高めるためには、どんな方法があるの?
睡眠の質を高めるためには、眠り始めの90分をいかに深く眠るかが大切です。最初に深く眠ることができると自律神経やホルモンの働きが良くなり、身体の疲れも吹き飛ぶのです。
睡眠には浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠があります。私たちは眠り始めるとまずノンレム睡眠の1段階目へと移行し、2→3→4と段階が上がるにつれ眠りは深くなっていきます。そしてある程度時間が経つと睡眠段階が下がり、眠りが浅いレム睡眠に入ります。これが睡眠の1サイクルであり、その時間は約90分です。
睡眠の質が高い人は、深い眠りであるノンレム睡眠4に入ることが出来るため、短い時間でもしっかりと疲れを取ることができます。逆に、睡眠の質が低い人や、歳を重ねるとノンレム睡眠2や3にしか入ることが出来なくなるため、眠りが浅くて疲れが取れにくくなるのです。
私たちが眠っているときはこのサイクルを4~5回繰り返していますが、眠り始めの1回目のサイクルが最も深く眠れます。そして、1回目のサイクルが深ければ深いほど自律神経や成長ホルモンの働きが良くなり、身体の細胞が活性化したり、疲れがしっかりと取れるのです。そのため、入眠時最初の90分は「黄金の90分」と呼ばれるほど睡眠の質に影響を与えます。
逆に寝つきが悪い人は睡眠の質も悪く、肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病や、アルツハイマー型認知症にかかりやくなることがわかっています。だからこそ、寝つきを良くして睡眠の質を高めることが大切なのです。
では「黄金の90分」をより深く眠るためにはどんな方法があるのでしょうか?ここではぐっすり眠って睡眠の質を高めるために10の方法を紹介します。すべてやる必要はないのですが、あなたに合いそうなものを取り入れてみてくださいね。
- リラックスする
- 体内時計を整える
- 睡眠のリズムを整える
- 適切な睡眠量を知る
- 適度な運動をする
- 適度な食事量にする
- 寝具を整える
- 部屋の明るさを調節する
- 快適な湿度と温度を保つ
- 心配事を減らす
リラックスする
寝る前にリラックスをすると、スムーズに入眠出来るだけでなく、眠りが深くなります。私たちの自律神経には、交感神経と副交感神経があります。交感神経が優位の状態では、こころもからだも興奮して覚醒した状態となり、副交感神経が優位の状態では、こころもからだもリラックスして休息モードとなります。
ぐっすり眠るためには、リラックスして副交感神経が高まった状態で眠りにつくことが大切だと言われてます。
副交感神経を高めてリラックスした状態で眠るためには、以下の方法が有名です。
- 音楽を聴く
- お風呂につかる
- ストレッチをして身体をほぐす
- アロマを炊く
- 腹式呼吸をする
実際はどのような方法でも、あなたがリラックスできれば問題ありません。漫画を読んだり、本を読むことでリラックスできる人は、その方が良いです。大切なことは習慣にするということです。
習慣にすることで、寝る前に身体が睡眠モードに入るための流れがつくれます。すると、リラックスするだけで、スムーズに睡眠に入れるようになりますよ。
体内時計を整える
私たちは1日の内で自然とお昼はからだとこころが活動的になり、夜は休息状態に変わるというリズムがあります。この体内のリズムを体内時計といいます。
この体内時計の働きによって、夜になるとからだは自然と眠るモードに入っていくのですが、寝不足や不規則な生活をしていると、体内時計が乱れてしまいます。その結果、夜なのに眠れなくなったり、昼なのに眠くなったりしてしまうのです。
体内時計が乱れると睡眠の質が低下してしまうのです。
体内時計の働きを整えるためには、朝起きたら日光を浴びることが効果的です。日光を浴びることで体内時計はリセットされるため、朝起きたらカーテンを開けて太陽の光に当たる習慣をつけましょう。
睡眠のリズムを整える
体内時計を整えるためには、睡眠のリズムを整える必要があります。夜寝る時間や朝起きる時間を一定にすることで、生活リズムを整え、身体が眠りにつくことを習慣化するのです。
また、一昔前は午後10時から午前2時は、成長ホルモンが分泌される「睡眠のゴールデンタイム」と言われ、睡眠の質が高い時間帯といわれていました。しかしこれは、特に根拠があるものではなく、大切なのは時間帯よりも睡眠のリズムだとわかってきています。
参考:ヒトの生体リズムを考慮した快眠技術
この話では以下のことが大切と言われています。
サーカディアンリズムを改善し、日中の覚醒と夜間と睡眠のメリハリが、健全な睡眠 ・覚醒リズムを基盤 とした真の快眠へとつながる。
わかったような?わからないような?気がしますが(笑)、体内時計を整え、覚醒と睡眠のメリハリをつけることが快眠へとつながるのです。
適切な睡眠量を知る
先ほど紹介したレム睡眠とノンレム睡眠のサイクルには個人差があります。90分で1サイクルの人もいれば70分で1サイクルの人もいます。そのため、適切な睡眠量は人によって異なります。私たちはレム睡眠時に起きるとすっきりと目覚めることができますので、90分サイクルの人は1時間半、3時間、4時間半、6時間、7時間半の睡眠時間がすっきりと起きることができます。
一方、70分サイクルの人は1時間10分、2時間20分、3時間30分、4時間40分、5時間50分、7時間の睡眠時間ですっきり起きることができます。
この時間間隔に加えてショートスリーパー(短時間睡眠の人)かロングスリーパー(長時間睡眠の人)かによっても適切な睡眠量が決まります。1日4時間睡眠で大丈夫な人もいれば、10時間は必要という人もいるのです。
このように、睡眠量には個人差もあるため、あなたにとって適切な睡眠量を知る必要があります。一般的には、6.5~8.5時間の睡眠量で十分に疲労は回復しますよ。
まずは自分で、様々な睡眠時間を試してみて、「翌日、眠気を感じずスッキリ過ごせる」睡眠量を探してみてくださいね。
適度な運動をする
ウォーキングやジョギングなどの適度の運動を行うことで、身体の血流は良くなり、ストレス軽減や幸福感を感じるホルモン(セロトニン)も分泌されます。
ストレスは熟睡を妨げるので、身体の緊張もほぐしてくれる運動は、二重の意味で睡眠の質を高めてくれます。さらに運動を継続すると、体力が付くことで疲労も溜まりにくくなり、疲れにくい身体になることが出来ます。
運動は、睡眠の質を高めるだけでなく、生活習慣病の予防や健康づくりにとっても効果抜群です。ぜひとも取り入れたい習慣ですね。
適度な食事量にする
食事のとり方によっても睡眠の質は変わってきます。睡眠は、脳と身体を休めるために取るものですが、食事量が多いと、食事を消化するために内臓に多くの負担がかかってしまいます。
食事を取ると、暑くなって汗をかいたり、眠くなるという経験は誰でもあると思います。これは、食物を消化するためには、体内の血液を内臓に集めて、体温が上がるほど多くのエネルギーを必要とするからなのです。
実際に平均的な食事の消化に要するエネルギーは、フルマラソンで消費するエネルギー量にも相当します。
もし、睡眠の前に胃の中に食物が残っている場合、脳は休憩できても内臓は休むことなく働き続けなければなりません。眠る前に食事を取ったり、夜食を取ると、朝もスッキリと起きられなくなってしまうのです。
食事に関しては、腹八分の食事と寝る3時間前に食事を済ませることで睡眠の質も高めることが出来ますよ。また、食事内容については、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
寝具を整える
眠る際に、実際に身体に触れているものが心地よいかどうかは、睡眠の質に大きく影響します。寝具を整えるということは、睡眠の質を高めるためには不可欠です。寝具については、以下の4つのものを整えることで睡眠の質が高まります。
- マットレス
- 枕
- 布団
- パジャマ
特にマットレスの質は、睡眠の質に大きく関わります。硬い畳や柔らかすぎるソファーで眠ると、ぐっすりと眠ることができないように、マットレスとの相性で睡眠の質も変わります。
最近では、睡眠の質を高めるために高反発マットレスが有名となっていますが、自分に合ったマットレスを見つけることが出来ると良いですね。
詳しくは腰痛対策によい高反発マットレス選び方をさんこうにどうぞ。
部屋の明るさを調節する
寝るときは、真っ暗が良いのか?豆電球くらいの明かりが良いのか?照明をつけて眠るのが良いのか?いろいろあります。結論から言うと、最も安心して眠れる暗さが良いです。
実際には、部屋を真っ暗にして眠る方が、眠りを促すホルモン(メラトニン)が多く分泌されるので、睡眠には良い影響を与えます。ですから、なるべく暗いところで眠る方が、睡眠の質は高まります。
ですが、中には暗すぎると不安で眠りにくくなるという人もいます。そのため、厚生労働省健康局が作成している健康づくりのための睡眠指針2014でも以下の指摘があります。
『就寝時には、必ずしも真っ暗にする必要はありませんが、自分が不安を感じない程度の暗さにすることが大切です。』
出典:厚生労働省健康局2014 健康づくりのための睡眠指針2014 – 厚生労働省(Adobe PDF)
真っ暗にした方が眠りやすいという方は、遮光カーテンを使うという方法もあります。特に夜も明るい都会で生活している方は、遮光カーテンで光を調節した方が良いかもしれませんね。ただし、本当に熟睡して寝坊してしまうので注意です(笑)
真っ暗よりも、照明が合った方が眠りやすいという方は、豆電球のような直接照明よりも、足元やベッド下の間接照明が望ましいようですよ。
快適な湿度と温度を保つ
布団の中の温度や部屋の温度、湿度が少し変わるだけで、睡眠の質は大きく変わります。快眠しやすい室温は、夏は25~27度くらい、冬は14度~20度くらいで、布団の中の温度は33度くらいが良いと言われています。部屋の湿度は、50%~60%だと快適に眠ることができます。
ある調査では、室温が快適温度から5度程度上がるか下がるかするだけで、深い睡眠の量が20%も減少したと報告されています。
夏や冬はクーラーやヒーターをつけたりして室温を調整すると思いますが、温度は一定に保つ方が睡眠の質が高くなります。タイマーを使用して、クーラーやヒーターを切ると室温が変わってしまうため、暑さや寒さで目が覚めてしまうこともあります。
また、クーラーが苦手な人は、扇風機を使用することもあると思いますが、扇風機を身体に当てたまま寝ると、体に良くないため、身体に直接当てないようにすると良いですよ。
布団に関しては、夜に暑くて目が覚めたり、寒くて目が覚めることがないように調節してくださいね。
心配事を減らす
最後は精神論になってしまうのですが、心配事を減らすというのも睡眠の質を高めるためには効果的です。
夜に考え事をして眠れなくなるという経験は、よほど精神的にタフな人以外は、1度くらいはあると思います。何かを心配することは神経を興奮させ、交感神経が優位となって、こころもからだも緊張することで眠れなくなってしまうのです。
さらに、無理をして眠ろうとすると、眠れない焦りから余計に不安になってしまい、不眠症となってしまう方もいます。「眠らなければ・・・。眠らなければ・・・。」と考えるほど眠れなくなるのは、眠れない不安が高まっているからなのです。
心配事を減らしたり、不安を解消するためには、瞑想を行って精神面を安定させたり、考え方を前向きなものに変えていくように心がけると良いですよ。そんなに簡単じゃないよ!という声が聞こえてきそうですが、少しづつで構わないのです。
また、先ほど紹介したリラックス法を行うことでも気持ちが落ち着いてきますよ。
結局、生活習慣が大切ってこと?
シンプルですが睡眠の質を高めるためには、生活習慣を整えることが近道です。
生活習慣が整うことで体内時計も整い、睡眠の質は高まります。適度な運動やバランスの良い食生活を心がけると良いですよ。
睡眠の質は、健康のためだけではなく、日中の思考力や集中力にも影響し、充実した毎日を送るためにも大切なものです。
先ほど紹介した10の方法のすべてを行う必要はないですので(笑)、まずはあなたが試しやすいものから行ってみてくださいね。
眠ろうと思っても寝付けないときがあるわ。結局、なかなか眠れないのは何が原因なの?
眠れない原因にはストレスや不安、睡眠環境の悪化や体内時計の乱れなどいろいろな原因があります。人によっては複数の原因が重なっていることもありますよ。
なかなか眠れない原因として特に多いのが以下の5つです。
- ストレスや緊張
- 睡眠環境
- 体内時計の乱れ
- 寝る前の過ごし方
- 病気や痛みによる原因
ストレスや緊張
私たちの生きている現代社会では、ストレスは避けて通れないものです。イライラや不安などで心身が緊張していると、脳が覚醒してしまい、寝つきはとても悪くなってしまいます・・・。私の場合は、寝る前に子供を叱ったり、旦那さんと喧嘩をした後は、寝つきがとても悪くなるのが分かります(笑)
誰でもイライラしたり、悩み事があってなかなか寝つけなかったという経験はあると思います。それは、ストレスで気持ちが緊張し、交感神経が優位となってしまうことで、眠ろうとしても脳が覚醒してしまうからです。その結果、余計に「眠らなくてはいけない・・・」と考え、眠ろうとすればするほど眠れないという、不眠の悪循環にはまることもあります・・・。
通常、睡眠に入るときは、副交感神経が優位となって、こころもからだもリラックスした状態になります。ですから、寝つきを良くするためには、ストレスや緊張を緩和することが大切になってきます。
睡眠環境
睡眠環境としては、マットレスや枕、布団、パジャマなどの寝具類も非常に大切です。たとえば、硬い畳の上で寝たり、柔らかいソファーの上で眠ると身体が痛くて寝つきが悪くなることもあります。質の良いマットレスで眠ることは、寝つきを良くするために大切なことです。
また、質の高いマットレスは身体も蒸れないため気持ちよく眠ることができますよ。
最近はビジネスマンの中にも、寝具を整えることで睡眠環境を整えて、仕事の質を高めたいという人が増えてきています。自分に合った寝具を使うことで、眠りやすい状態へと身体を導くことができますよ。
体内時計の乱れ
毎日も生活リズムがバラバラだったり、不規則な生活をしていると体内時計が乱れてしまいます。起床・就寝時刻がバラバラだったり、食事時間などの生活習慣が不規則になると、夜なのに眠くならなかったり、昼なのに眠くなったりします。
体内時計を整える方法としては、起床時間や就寝時間を一定にしたり、食事時間を一定にすると良いです。体内時計を整える一番の対策は、生活リズムを整えることなのです。
また、体内時計は光と密接な関係があります。夜になっても強い光やパソコンの画面などは、体内時計の乱れを引き起こします。夜は照明を柔らかいものに変えたり、朝起きたら太陽の光を身体に浴びるようにすることで、体内時計を整えることができますよ。
寝る前の過ごし方
寝る前の過ごし方によっては、脳が覚醒してしまい、寝つきの悪い状態となってしまいます。最近は有名になってきていますが、スマホやパソコンの画面から出てくるブルーライトも睡眠を妨げます。寝る前に睡眠を妨げる原因としては、5つのものがあります。
- パソコンやスマホのブルーライト
- 強い蛍光灯の光
- カフェインの入った飲み物
- 激しい運動
- 暴飲暴食
特に、寝る前にこれらのことをしてしまうと、寝つきが悪くなるだけでなく、睡眠の質も低下してしまいます。朝起きても熟睡感を感じなかったり、疲労感が残っている場合は、寝る前の環境が影響している場合もあるのです。
寝る前にこれらのことが習慣になっている方は、注意が必要です。身体が次第に寝つきの悪い体質へと変わってしまいますよ。
病気や痛みによる原因
病気や痛みによっても寝つきが悪くなります。
たとえば、腰が痛くて眠れなかったり、肩が凝って眠れないという方もいます。腰痛や肩こりの原因は、ストレスや運動不足など様々なものがありますが、寝つきを良くするためには、身体に痛みがないということは大切なことです。
腰痛が強いという方は、腰痛改善体操はやり方が大切。を参考にされてみてくださいね。また、腰痛はマットレスとの関係も大きいので、腰痛対策!なぜ高反発マットレスで腰痛対策できるの?を参考にどうぞ。
痛みを感じると、ストレスを感じることでさらに寝つきが悪くなったりします。これが続くと痛み止めや安定剤を処方することで寝つきを良くするという人もいますが、なるべくは痛みのない身体へと変えることがベストです。
また、病気によって寝つきが悪くなる場合もあります。
たとえば、むずむず病という病気があります。眠る前に、ふくらはぎや脚の裏がむずむずしたり、チクチクしてほてるような不快感が生じる病気です。むずむずチクチクが気になってしまうため、寝つきが悪くなってしまいます。
睡眠の質を高めるために気を付けることまとめ
このように睡眠の質を高めるためには多くの方法がありますが、ポイントは「黄金の90分」を深くするために寝つきを良くすることです。
寝つきが悪くなったり睡眠の質が悪くなる原因には様々なことがありますが、あなたにとって変えやすいところからしっかりと変えていくことが大切です。睡眠は毎日のことですし、私たちは人生の3分の1を寝て過ごしています。人生の3分の1の質が高まると毎日が楽しく爽快に過ごせそうですよね。